失業保険(雇用保険の基本手当)の受給条件と金額の計算|自己都合と会社都合の違い

毎月の給与明細で「雇用保険料」を払っているのに、いざ仕事を辞めるとき「いくら・いつから・何日分もらえるのか」を答えられる人はほとんどいません。正式には雇用保険の基本手当といい、条件も金額もルールで明確に決まっています。

この記事では、受給条件・金額の計算・自己都合と会社都合の違い・申請の流れを、厚生労働省とハローワークの一次情報をもとに解説します。

受給条件:「12か月」と「働く意思」の2つ

基本手当を受け取る条件は大きく2つです(出典:ハローワークインターネットサービス:基本手当について)。

  1. 被保険者期間:離職前2年間に通算12か月以上雇用保険に加入していたこと。倒産・解雇など会社都合の場合は「離職前1年間に通算6か月以上」に緩和されます。
  2. 失業の状態にあること:働く意思と能力があり、求職活動をしているのに職に就けない状態。つまり「もう働く気がない」「すぐに働けない(病気・出産直後・すぐ留学など)」場合は原則対象外です。
ポイント:病気や出産・育児ですぐに働けない場合は「受給できない」のではなく、受給期間の延長を申請できます。受給期間は原則離職の翌日から1年ですが、最長4年まで延長可能です。「落ち着いてから求職活動を始める」道が制度上用意されています。

金額の計算:賃金日額×給付率50〜80%

1日あたりの支給額(基本手当日額)は次の2段階で計算します。

① 賃金日額 = 離職前6か月の賃金合計 ÷ 180(賞与は含まない)
② 基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率50〜80%(60〜64歳は45〜80%)

給付率は賃金が低かった人ほど高くなる設計です(生活保障の性格が強いため)。また基本手当日額には年齢区分ごとの上限額があり、毎年8月に改定されます(出典:厚生労働省:雇用保険制度)。

ざっくりした目安として、月給30万円(賞与除く)だった人なら、賃金日額は1万円、基本手当日額はその50〜60%程度=1日5,000〜6,000円前後、月換算で15〜18万円前後というイメージです(実際の額は年齢・賃金水準・その年の上限額で変わります)。

注意:「給料の8割もらえる」と誤解している人がいますが、80%が適用されるのは賃金日額が低い場合です。現役時の収入が高い人ほど給付率は50%側に近づき、さらに上限額で頭打ちになります。

もらえる日数:自己都合と会社都合で大きく違う

支給日数(所定給付日数)は、離職理由・被保険者期間・年齢で決まります。代表的なケースを抜粋します。

離職理由被保険者期間所定給付日数
自己都合・定年など1年以上10年未満90日
10年以上20年未満120日
20年以上150日
倒産・解雇など(会社都合)例:30歳未満・1年以上5年未満120日
例:45歳以上60歳未満・20年以上最大330日

会社都合(特定受給資格者)は年齢と期間の組み合わせで90〜330日と手厚く、自己都合より大幅に有利です。退職勧奨に応じた場合や、残業が著しく多かった・ハラスメントがあったなどの「正当な理由のある自己都合」は、自己都合でも会社都合並みの扱い(特定理由離職者)になることがあります。離職票の離職理由欄は必ず確認し、事実と違う場合はハローワークで異議を申し立てられます

いつからもらえるか:待期7日+給付制限

離職理由支給開始まで
会社都合待期7日のみ
自己都合待期7日+給付制限 原則1か月

自己都合退職の給付制限は、2025年4月の制度改正で従来の2か月から原則1か月に短縮されました。ただし5年以内に3回以上自己都合で離職している場合は3か月です。また、教育訓練を受ける場合には給付制限が解除される仕組みも導入されています(出典:厚生労働省:雇用保険制度の改正内容について)。

実際の入金は「4週間ごとの失業認定→その後振込」というサイクルなので、自己都合の場合、退職から最初の入金まで2か月前後かかるのが現実的なスケジュール感です。退職前に当面の生活費を確保しておく必要があるのはこのためです。

申請の流れ:離職票を持ってハローワークへ

  1. 会社から離職票(離職票-1・-2)を受け取る:退職後10日〜2週間程度で届くのが一般的。届かなければ会社かハローワークに連絡。
  2. 住所地を管轄するハローワークで求職申込み:離職票、マイナンバーカード(または通知カード+身元確認書類)、写真、本人名義の預金通帳などを持参。
  3. 7日間の待期を経て、雇用保険説明会・初回の失業認定日へ。
  4. 4週間ごとの失業認定:認定日ごとに求職活動の実績(原則2回以上、初回は1回以上)を申告し、認定された日数分が振り込まれます。

失業認定申告書には、アルバイトなどで働いた日・収入を正直に申告してください。無申告での受給は不正受給となり、返還+最大2倍の納付(いわゆる3倍返し)を命じられることがあります。

なお、受給中に早く再就職が決まった場合は、残り日数に応じて再就職手当が支給されます。「もらい切らないと損」ではなく、早く決まった人にも手当が出る設計です。転職に伴う保険・年金・住民税の手続きは転職時の手続き一式にまとめています。

よくある質問

Q. 自己都合退職でももらえますか?

A. もらえます。被保険者期間12か月以上が条件で、待期7日+給付制限(原則1か月)の後に支給が始まります。

Q. 金額はどうやって計算しますか?

A. 離職前6か月の賃金合計÷180=賃金日額、その50〜80%が基本手当日額です。年齢区分ごとの上限があります。

Q. 受給中にアルバイトはできますか?

A. 可能ですが、働いた日・収入は失業認定申告書で必ず申告が必要です。無申告は不正受給になります。

まとめ

基本手当は「離職前2年に12か月の加入」+「働く意思」が条件で、金額は賃金日額の50〜80%、日数は離職理由と加入期間で90〜330日、開始時期は自己都合なら待期7日+給付制限原則1か月——ここまで押さえれば、退職前に自分のケースをほぼ見積もれます。最終的な金額・日数は、離職票を持ってハローワークで確認してください。

退職から再就職までの期間は、失業保険だけでなく健康保険・年金・住民税の手続きも同時に発生します。全体像は転職時の手続き一式で整理しています。

※本記事は一般的な制度解説です。給付額・給付率・上限額は改定されるため、最新の条件は必ずハローワークでご確認ください。